IT企業の選び方を新卒・未経験向けに解説!逆に入ってはいけないIT企業の特徴5選とは

「IT企業の選び方で重要なポイントは?」

「企業選びで迷ったときの対処法は?失敗しないためにはどんな対策が重要?」

「IT企業は数が多すぎて、どこを選べばいいのか分からない…」と感じたことはありませんか?

社風や働き方、給与や配属内容など、企業ごとに違いが多く、自分に合った会社を見つけるのは簡単ではありません。

特に未経験や初めての転職では、IT企業の選び方で不安や迷いがつきものです。

そこで本記事では、IT企業の選び方のポイント“定性”“定量”の両面からわかりやすく解説し、誰でも納得感を持って判断できる方法を紹介します。

今まさにIT企業の選び方に迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

【要点】記事のポイントと企業選びで失敗しないための対策とは

  • 仕事内容や配属内容が具体的な企業を選ぶことがミスマッチ回避の第一歩
  • 信頼できる口コミや社員の声を複数チェックして企業の実態を把握する
  • 就活・転職エージェントを活用して客観的な視点で企業を比較・検討する

IT企業の選び方では、事前の情報収集が満足度を大きく左右します。

求人内容だけで判断せず、口コミやエージェントの意見も活かしながら、仕事内容や社風との相性を具体的に見極めることが大切です。

そして何より、自分の軸を明確にし、同じ基準で比較すれば、納得できる企業に出会いやすくなります。

【先に結論】IT企業の選び方で最も重要なこと

IT企業を選ぶときに最も大切なのは、「自分にとって譲れない条件をはっきりさせておくこと」です。そして、その条件に合った会社かどうかを、仕事内容や事業内容を通してしっかりと見極めることが重要です。

就職や転職活動では、つい企業の知名度や給与など、目につきやすい要素だけで判断しがちです。ただ、それだけで選んでしまうと、入社後に「思っていたのと違った」とギャップに苦しむ可能性が高くなります。

実際、「スキルを伸ばしたい」と考えていたのに、実際は研修制度が形だけだったり、仕事が単調で学びの少ない環境だったり…そんなケースは少なくありません。

「自社サービスに関わってモノづくりがしたい」「色んな現場を経験して成長したい」「腰を据えて落ち着いた環境で働きたい」──こうした思いをはっきりさせた上で、それが叶えられる企業かどうかを見ていくことで、選ぶ軸がブレなくなります。

たとえば、年間休日が120日以上あるか、残業時間が20時間前後に収まっているかといった数値的な情報は、働き方のリアルを知る上で欠かせません。さらに、会社の発信やインタビュー記事を読むと、現場の雰囲気や仕事の進め方も見えてきます。

条件にぴったり合う企業を一発で見つけるのは簡単ではありませんが、「自分は何を大事にしたいのか」を最初に明確にしておくことで、選択に迷いが出にくくなり、納得のいく転職や就職につながりやすくなります。

選ぶ側の覚悟と準備が、満足度の高いキャリアをつくる第一歩になります。

IT企業の選び方【定性情報】

IT企業に就職・転職を考えている人にとって、“定性情報”を参考にした「IT企業の選び方」は非常に重要なポイントです。

給与や休日といった数値だけでは見えにくい部分、たとえば会社の雰囲気や価値観、働く人の人柄、日々の仕事の進め方などが、自分に合うかどうかで職場の満足度は大きく変わります。

ここでは、そうした“数字では測れない大事なこと”を見極めるための具体的な視点を紹介していきます。

就職後に「思っていたのと違った」と後悔しないために、事前にチェックすべきポイントをしっかり押さえておきましょう。

会社が目指す姿や価値観に共感できるか見る

転職活動や企業選びで、「この会社、自分に合っているのかな?」と迷ったことはありませんか。もし少しでもそう思ったなら、まず見てほしいのが、会社の掲げている「目指す姿」や「大切にしている価値観」です。

というのも、どれだけ待遇が良くても、考え方が合わない職場では息が詰まってしまいます。反対に、「この会社の考え方、すごく好きだな」と思えたら、ちょっとした苦労も前向きに受け止められるものです。

実際に、経営理念に共感して働いている人は、そうでない人よりも仕事の満足度が高く、離職率も低いという調査もあります※。

たとえば、「社会をもっと良くしたい」という思いを軸にしている会社もあれば、「社員一人ひとりの挑戦を応援したい」というスタンスを打ち出している会社もあります。

企業のサイトには、ビジョンやミッションのページが用意されていることが多いので、まずはしっかり読んでみましょう。

そして、理念がただの“お題目”になっていないかどうか、行動指針や社内制度に落とし込まれているかも要チェックです。理念が言葉だけで終わらず、実際の働き方や評価制度にまで反映されていれば、その会社は本気でその価値観を大切にしている証拠です。

「共感できる会社で働く」ということは、居心地の良さにも、やりがいにも、大きくつながります。数字や条件だけでは見えない部分だからこそ、じっくり丁寧に確認しておくことをおすすめします。

社風や人の雰囲気が自分に合うか確かめる

IT企業を選ぶうえで、「この会社で自分は気持ちよく働けるか?」という視点は、思っている以上に大切です。給料や休みの条件がどれだけ整っていても、職場の空気が自分に合わないと、毎日の仕事がただ苦しく感じてしまうこともあります。

たとえば、オープンなコミュニケーションが盛んな社風を求めているのに、上下関係が厳しくて意見を言いにくい職場に入ってしまうと、「なんだか息苦しいな」と感じる場面が増えるかもしれません。

反対に、静かな環境が落ち着くタイプの人が、雑談やイベントが多すぎる会社に入ると、それが負担になることもあります。

実際に、社風や人間関係が働きやすさに与える影響は大きく、ハーバード大学の研究でも「職場文化が良い企業は、生産性が上がり、離職率が低い傾向がある」と報告されています(出典:参考文献)。

数字だけでは見えない、でも日々の満足度を大きく左右する要素なのです。

とはいえ、入社前に会社の空気感を完全に把握するのは難しいもの。でも、工夫次第である程度の判断はできます。たとえば、社員インタビューやSNSでの発信をチェックしたり、説明会や面接で実際に話す社員の雰囲気を観察してみるのもおすすめです。

口コミサイトも参考になりますが、1つの意見に偏らず、複数の声を見て全体像をつかむようにしましょう。

「なんとなく好きかも」と思える空気の会社に出会えたら、それは大きな手がかりです。仕事そのものも大事ですが、どんな人たちと、どんな雰囲気の中で働くかは、それと同じくらい大事だと思います。自分にとって「心地よい」と感じられる環境を、焦らず丁寧に探していきましょう。

仕事の進め方が分かる事例や発信をチェックする

IT企業を選ぶときに意外と見落とされがちなのが、仕事の進め方に関する具体的な情報です。どんなチームで、どうやってタスクを進めているのか。そこが見えるかどうかで、入社後のミスマッチを防げるかが大きく変わってきます。

実際、今のIT企業の多くは、公式ブログやエンジニアの技術発信、採用インタビューなどを通じて業務の流れや考え方を紹介しています。

たとえば、受託開発を行っている企業なら、「プロジェクトの始まりから納品までどんな役割で関わるのか」「チーム内での連携方法」などが丁寧に説明されていることもあります。こうした情報があるだけで、現場のリアルがぐっと伝わってきます。

ある企業のエンジニアブログでは、実際の開発事例や使用しているツール、社内での意思決定の流れまで詳しく語られており、応募者が「自分がどんなふうに働くのか」を明確にイメージできる構成になっていました。

だからこそ、求人票だけで判断せず、会社の公式発信や社員のインタビュー記事をじっくり読み込むことが大切です。透明性のある企業は、仕事の進め方もオープンにしていることが多く、信頼できる判断材料になります。

自分がそのチームに馴染めそうか、働く姿が思い描けるか。そこに少しでも確信が持てるかが、企業選びの精度を高めてくれます。

配属や担当の説明が具体的で分かりやすい会社を選ぶ

どの部署に配属され、どんな業務を担当するのかが最初から明確なIT企業は、働く人への配慮が行き届いている証です。特に転職や就職を考えるとき、自分がどんな役割を任されるのか見えない会社では、入社後に「思っていた仕事と違った」と感じてしまうリスクが高まります。

実際、エン転職やリクナビNEXTなどの大手求人サイトでも、優良企業ほど「配属予定のプロジェクト例」や「チーム構成」「使用ツール」まで詳しく記載されています。

企業の採用ページでも、「入社初日はこの業務からスタート」「〇ヶ月でこのような工程を経験」といったフローを示す会社は、育成にも力を入れている傾向があります。

一方で、求人票や面接時の説明で「配属は未定」「希望は聞くが状況による」といった表現が目立つ場合は要注意です。これは柔軟性ではなく、計画性や人材配置の透明性が不足しているサインかもしれません。

だからこそ、「自分が何を担当し、どんな仲間と、どのように働くのか」が具体的に示されている会社を選ぶことが、満足度の高いキャリアにつながります。

疑問が残る場合は面接時に「入社後の1週間で想定される仕事内容」を具体的に尋ねてみるのがおすすめです。言葉を濁す企業よりも、きちんと説明できる会社こそ、信頼できる環境を提供してくれるはずです。

入社後に学べる研修やサポートの手厚さを確認する

入社してから受けられる研修やフォローが充実している会社を選ぶと、働き始めたあとに感じる不安がぐっと小さくなります。成長のスピードにも影響するため、実は見落としにくい大事な判断材料になります。

IT業界は技術の入れ替わりが早く、入社時点の知識だけでは追いつかないことも珍しくありません。だからこそ、企業側が基礎から丁寧に教える仕組みを整えているかどうかで、働き始めた後の過ごしやすさが変わってきます。

実際、TechAcademy HR MAGAZINEでは、研修制度の有無が新人の成長度に直結するという内容が紹介されています。

たとえば、あるIT企業では、入社直後にITリテラシーやプログラミングの基礎、情報セキュリティの考え方などを段階的に学べる研修を設けています。他にも、現場に入ってからは先輩社員が伴走するOJTや相談しやすいメンター制度を整えている会社もあります。

こうした仕組みがあると、最初の一歩を踏み出すときの緊張が和らぎ、仕事にも入りやすくなります。

転職活動中は求人票の待遇に目が向きがちですが、研修やサポート体制の中身も同じくらい大切です。教育に手間をかける会社は、人材を長く育てたいという姿勢がはっきり表れていて、入社後のギャップも起きにくくなります。

IT企業の選び方で迷う場面があれば、研修制度の整い方を一つの基準にすると判断しやすくなります。

働く場所や働き方の自由度があるか事前に確認する

「どこで、どんなふうに働けるのか」は、会社選びで後悔しないための大事なチェックポイントです。特にIT業界では、フルリモート勤務やフレックス制を導入している企業も多く、働き方の自由度に差が出ています。

実際、マイナビの調査によると、IT・Web系職種で在宅勤務を導入している企業は60%を超え、フレックスタイム制も約40%にのぼります。※

こうした仕組みが整っていれば、たとえば「通勤時間を減らしたい」「子どもが学校に行っている間に仕事を進めたい」といった希望にも柔軟に対応しやすくなります。

ある企業では、週3日まで在宅勤務OK、さらに出社する日は自由に選べる制度を導入していました。勤務時間にしても10時~16時をコアタイムにし、前後は自分で調整できるとのこと。こうした情報は求人票にしっかり記載されており、面接でも丁寧に説明されていました。

だからこそ、応募前には求人票や採用ページを細かくチェックし、「働き方に選択肢があるか?」を自分の目で確かめることが大切です。会社の柔軟性は、日々の生活を大きく左右します。

無理のない働き方を実現するためにも、「自由度」という視点を忘れずに持っておきましょう。

社員の定着率や離職率から働きやすさを判断する

応募先のIT企業が働きやすいかどうかを見極める際、社員の定着率や離職率に目を向けると、職場の空気感がかなり読み取りやすくなります。長く在籍する社員が多い会社は、無理のない働き方が根づき、腰を据えて成長できる環境である可能性が高いからです。

離職率は「1年間で会社を離れた社員の割合」を示す指標で、反対に定着率は「どれほどの社員が働き続けているか」を表します。

具体的に、情報通信業では、厚労省の資料から離職率が約12~13%とされており、この数字を下回る企業は職場が安定しやすい傾向にあります。逆に、離職が続く会社では、ノウハウが途切れやすく、チームが落ち着かない状態になることもあると指摘されており、働きやすさに直結する要素といえます。

実際に、あるIT企業は自社の離職率を公開し、平均より低い数字を継続していました。こうした透明性のある企業は、人材育成に力を入れ、社員が無理なく働ける体制を整えている可能性が高いと推測できます。

転職活動を進める際は、求人票だけで判断せず、会社の採用ページや四季報、口コミサイトなどで「離職率」「平均勤続年数」などを調べてみると、職場環境のリアルな姿が見えてきます。面接の場で数値を確認するのも有効な方法です。

数字をしっかり示せる企業ほど、働く人を大切にする姿勢がうかがえます。

定着率や離職率は派手な情報ではありませんが、働き続けられるかどうかを左右する大切な判断材料になります。長く安心して働けるIT企業を選ぶためにも、一度じっくり確認してみてください。

実際の社員の声やインタビューでリアルな働き方を知る

就職や転職先を探すうえで、実際にその企業で働いている人の声を読むことほど参考になる情報はありません。どんなに求人内容が魅力的でも、社内の雰囲気や日常の働き方が自分に合っていなければ、長く続けるのは難しくなってしまいます。

多くのIT企業では、採用サイトや社内ブログなどで現場社員のインタビューを掲載しています。内容は「入社後に感じたギャップ」「仕事のやりがい」「上司や同僚との関係」「一日の働き方」など、求人票だけでは見えないリアルな情報が詰まっています。

たとえば株式会社ハンモックでは、エンジニアや営業の社員がそれぞれの経験を語っており、「若手でも意見を出しやすい環境」「入社後に技術力が伸びた」といった具体的な話が紹介されていました。

さらに、オリバー株式会社のように転職経験者の声を載せている企業もあります。そこでは「SESから転職して仕事の自由度が上がった」「チームで成果を出す働き方ができるようになった」といった実感が伝わってきます。

こうした声は、企業文化の理解にもつながり、自分にとっての働きやすさを見極めるヒントになります。

応募先の企業を調べるときは、ぜひ「社員インタビュー」や「働く人の声」といったコンテンツを探してみてください。熱意ある言葉で書かれた話には、その職場での本当の空気感があらわれています。そして、それが「この会社で働きたい」と思える決め手になることも少なくありません。

自分の目で、リアルな職場の姿を感じ取ることが、後悔しない企業選びにつながります。

IT企業の選び方【定量情報】

IT企業に就職や転職を考えている人にとって、「なんとなく良さそう」だけで企業を選んでしまうと後悔する可能性があります。

特に「IT企業の選び方」は、数字に基づいて客観的に比較できる重要な指標です。

企業の働きやすさや安定性、将来性を数字で判断することで、主観に頼らず冷静に選ぶことができます。

ここでは、IT企業の選び方の中でも重要な“定量情報”を取り上げ、年間休日や残業時間、平均年収、業績の推移、離職率など、求人票や公開情報から読み取れるポイントを詳しく解説します。

数字をもとに、自分に合ったIT企業を見極める手がかりにしてください。

年間休日120日以上か求人票で確認する

IT企業に転職を考えるとき、「年間休日が何日あるか?」は思っている以上に大事なチェックポイントです。中には「休日の数なんてどこも似たようなものでしょ?」と思う方もいるかもしれません。でも実際は、企業によって休日数にはかなり差があり、働き方やプライベートの充実度に大きく関わってきます。

たとえば、厚生労働省の調査では、日本企業全体の平均年間休日は約112日とされています※。一方で、IT業界では「年間休日120日以上」と明記されている求人も多く、それは「土日祝はしっかり休める」「年末年始や夏季休暇もきちんとある」といった環境の目安になります。

つまり、この数値は“休みの取りやすさ”を客観的に測るシンプルで信頼できる指標です。

実際、転職サイトをのぞいてみると、「年間休日125日」「完全週休二日制」「土日祝休み」など、働きやすさを前面に出している企業が目立ちます。そういった会社は、社員の生活やメリハリを大事にしている傾向があり、無理な働き方を強いられる可能性が低いと言えるでしょう。

「長く安心して働ける職場かどうか」は、こうした数字からも読み取れます。求人を見るときは、給与や仕事内容だけでなく、年間休日120日以上かどうかも必ずチェックするようにしてください。

ほんの数日の違いが、心のゆとりや人生の満足度に大きく影響するかもしれません。働き方にこだわりたい人ほど、見逃せない項目です。

残業時間が月20時間前後か数字で見る

IT企業を選ぶときは、残業時間が月20時間前後かどうかをひとつの基準にしたほうが安心です。

なぜかというと、IT・通信系エンジニアの平均残業時間が23.6時間という調査結果があり、働きやすい会社はだいたいこの水準に収まっていることが多いからです。

実際、厚労省の資料によると、全業種の平均と比較すれば、やや残業時間は多いものの、生活リズムが大きく崩れない範囲でもあります。※

求人票の例を挙げると、「平均残業20時間」と書かれている会社なら、平日に毎日1時間ほどの残業で収まる計算になります。家で夕食を取れたり、趣味や勉強にまわせる時間も残りやすいため、人によって無理のない働き方を続けやすい環境といえます。

一方で「月40時間以上」が常態化している求人では、平日の余裕がなくなり、気力や体力が削られる可能性も高まります。

働きやすいIT企業を選ぶうえで、残業時間を数字として冷静に見る姿勢は欠かせません。月20時間前後に収まっているかどうかを把握するだけで、仕事と生活のバランスを整えやすい企業かどうか判断しやすくなります。

平均年収と昇給額の数字を他社と比べる

転職先を探すとき、「仕事内容が面白そう」とか「雰囲気がよさそう」といった感覚も大切ですが、最終的に生活に直結するのはやはり「お金」の話です。

特にIT業界は会社によって給与水準にかなり差があるため、平均年収や昇給のペースを他社としっかり比べておくことが重要です。

たとえば、国内で働くITエンジニアの平均年収はおよそ537万円から550万円となっています(厚労省※)。これは業種全体の平均を上回る水準ですが、一口にIT企業と言っても、実際の年収は会社ごとに大きく異なります。

実際、給与が高い企業は成長フェーズにあり、利益が社員に還元されやすい傾向もありますし、逆に平均より大幅に下回る企業では昇給幅も限られているケースが多いです。

求人票を見て「年収520万円」と記載があれば、先述の平均と照らして妥当な水準かが判断できます。仮に他社が450万円前後で提示している場合、その差は年にして70万円。5年働けば350万円の差になります。

年収の数字は、生活レベルや貯金、将来の選択肢に直結します。「やりがい」だけで選んで後悔しないように、給与水準は必ず確認しておきたいポイントです。

売上や利益が3年連続で伸びているか見る

転職先のIT企業を選ぶうえで、「売上や利益が3年連続で伸びているかどうか」は信頼できる判断材料になります。目に見える数字が右肩上がりで推移している企業には、安定した経営力と成長性があるからです。

企業の公式サイトやIR情報を見れば、過去3年分の売上高や営業利益などを確認できます。たとえば、2021年から2023年にかけて毎年数字が増えている場合、その会社は継続して事業を拡大している可能性が高いと考えられます。

反対に、売上が上がっていても利益が落ちているようなら、経費過多や効率の悪化が隠れている可能性があり、業績悪化の懸念も否定できません。

実際、転職サイトのマイナビ転職やdodaでも、業績好調な企業ほど待遇面や制度面が整っている傾向があります。売上や利益が伸びている=余力がある会社なので、社員に還元できる体力もあるということです。

将来の安定や働きやすさを重視するなら、3年間連続で数字が伸びている企業かどうかを、求人票や企業情報からチェックしておくと安心です。経営の伸びは、仕事のチャンスや待遇改善にも直結します。数字は裏切らない指標です。

離職率が10%未満か公開情報で確かめる

離職率という言葉に、ピンとこない人もいるかもしれません。でもこれは、会社選びの裏側をのぞく大きなヒントです。もしもあるIT企業の離職率が10%未満であれば、それは「社員が辞めにくい」つまり「働きやすい環境」が整っているサインと考えてよいでしょう。

たとえば厚生労働省のデータによると、情報通信業の平均離職率はおおよそ11~12%※。それよりも低い数字を出している企業は、待遇面や職場の人間関係、キャリアの継続性などで満足している社員が多い可能性があります。

特にIT業界は成長スピードが早く、仕事のハードさもある分、環境が悪ければ人はすぐに辞めてしまいます。だからこそ、低い離職率には価値があります。

たとえば、求人情報に「離職率8%以下」「定着率92%以上」といった表記があれば要チェックです。そうした企業は、研修制度が充実していたり、評価や昇給に納得感があるなど、社員が続けたいと思える工夫をしていることが多いです。

逆に、「情報がない」「離職率が15%を超える」などの場合は、なぜなのかを自分なりに調べてから判断したほうが安心です。

求人票を眺めるだけでは分からない“中の空気”は、数字が語ってくれます。離職率という一つの数字から見える職場のリアルを、見落とさずにしっかり読み取ってください。

長く安心して働けるIT企業を見つけるために、ぜひこの視点を取り入れてみてください。

IT企業の選び方【事業形態】

IT企業に就職や転職を考える際、「どのような事業形態の会社で働きたいか」を明確にすることが非常に重要です。

IT業界と一口に言っても、自社開発・受託開発・SES・SaaS・ITコンサルなど、企業のビジネスモデルによって働き方や関われる仕事の内容は大きく異なります。

この“事業形態”を取り上げた「IT企業の選び方」では、それぞれの形態ごとの特徴と向いている人のタイプを紹介し、自分に合った働き方を見つけるためのヒントをわかりやすく解説していきます。

自社のサービスに関わりたいなら「自社開発企業(Webサービス)」

「自分のアイデアや手がけた仕事が、ユーザーの手に届く形になる仕事がしたい」──そう感じているなら、自社開発企業は有力な選択肢です。サービスづくりの最初から最後まで深く関われるため、やりがいや手応えを感じやすい職場です。

たとえば自社開発企業では、ユーザーの声をもとに機能を追加したり、不具合を改修したりと、サービスの成長に直接関わる機会が多くあります。社内には企画、開発、運用の担当が近くにいることが多く、チームで一つの目標を追いかける体制が整っています。

外注開発では得られにくい「自分の仕事がサービスに反映される喜び」が日常的にあるのが特徴です。

実際、転職サイトやエージェントでも「自社開発×エンジニア」の人気は高く、長期的に働く人が多いのもこの分野の傾向です。自分の手でサービスを育てていきたいと考えるなら、自社開発企業は一度は検討すべき働き方です。

育成環境や裁量の広さ、社内の雰囲気などもあわせてチェックすると、より納得感のある企業選びにつながります。

※レバテックルーキー

安定した大規模案件で経験を積みたいなら「受託開発企業(SIer)」

「地に足をつけて、着実にスキルを身につけたい」と考えているなら、受託開発企業(いわゆるSIer)を視野に入れてみてください。安定した案件が多く、じっくりと腰を据えて取り組める環境が整っているケースが多いからです。

SIerは、企業や自治体などクライアントから依頼を受け、システムの設計から開発、運用までを一貫して請け負うのが特徴です。案件の多くは大規模で、例えば銀行の勘定系システムや公共事業の管理システムといった社会インフラに関わるものも少なくありません。

こうした仕事では、設計の緻密さや進行の段取り力が求められます。その分、現場で学べることは非常に多く、ITエンジニアとしての土台をしっかり築けるのが魅力です。

たとえば、NTTデータや富士通、日立ソリューションズのような大手SIerでは、数億円規模のプロジェクトも日常茶飯事。そのなかで数年かけて一つのプロジェクトに取り組むこともあります。

一つのプロジェクトをじっくりやり切る経験は、スピード重視のスタートアップではなかなか得られないものです。

もちろん、顧客の要望に応じた開発なので柔軟性が必要ですが、「与えられたミッションを確実に遂行する力」を育てたい人にはぴったりの環境です。

将来的にプロジェクトマネージャーや要件定義など上流工程を目指したい人にとっても、確かなステップアップにつながります。

さまざまな現場を経験したいなら「SES企業(客先常駐)」

もし「1社に縛られず、いろんなプロジェクトに挑戦してみたい」と考えているなら、SES企業という選択肢は意外と現実的で魅力があります。

SES(システムエンジニアリングサービス)は、いわゆる“客先常駐”のスタイル。クライアント企業に出向いて仕事をするので、関わる業界もプロジェクトの内容も実に多彩です。

たとえば、ある月は金融系のシステム保守、次の月は小売業向けの業務システム改修といった具合に、短期間でさまざまな現場に触れる機会が出てきます。

この働き方は、自然と適応力が磨かれますし、どんな職場でも使える「対応力」や「汎用スキル」が身につくのも大きなメリット。キャリアの土台を広げたい人には特におすすめです。

実際、専門メディアで紹介されている事例でも、SES企業で複数の現場を経験したエンジニアが、後にフリーランスとして独立するケースや、自社開発企業にキャリアチェンジするケースも増えています。

これは、SESの働き方が技術とビジネスの両面で応用力を養える環境だという証拠です。

どの現場に行くかは運もありますが、現場ごとに新しい人・技術・業務に出会えるチャンスがあるのは、他の事業形態にはない大きな特徴です。ひとつの会社に腰を据えるよりも、いろんな経験を積んでみたいというタイプには、SESはかなり相性の良い働き方と言えるでしょう。

企業向けのクラウド製品に関わりたいなら「SaaS企業」

もし「企業の課題を、便利なITサービスで解決したい」と考えているなら、SaaS企業に注目してみてください。自社で開発したクラウドサービスを法人向けに提供するのがSaaS企業の主なビジネスで、近年とても注目されています。

なぜかというと、世の中の多くの企業が「もうシステムは持たず、借りる時代だ」と方向転換しているからです。社内にサーバーを置いて、自前でソフトウェアを動かす時代は過ぎ、いまは「必要なときに、必要なだけ」クラウド上で使えるサービスが支持を集めています。

SaaS企業はまさにその中心にいる存在です。

実際、SaaS企業で働くと、ただ開発だけではなく、カスタマーサクセス、営業、プロダクト企画など、職種も幅広く、多様なキャリアが描けます※。たとえば、導入支援や顧客対応を通じて、ユーザーの声を聞きながらサービスを改善するなど、「自分の関わったサービスが成長していく手応え」を感じられる場面が多くあります。

「最新のクラウド技術に触れたい」「企業向けサービスの仕組みに関心がある」「機能を育てながらユーザーと伴走したい」と感じるなら、SaaS企業はその想いをカタチにしやすい場所です。

とくに今後も需要の伸びが見込まれている分野なので、将来性を重視する方にもおすすめです。

経営に近い立場で提案したいなら「ITコンサルティング」

「どうせなら、ただ言われた通りに作るだけじゃなくて、もっと経営に近いところで仕事がしたい」。そんな想いを持っている人にとって、ITコンサルティングは理想的なフィールドかもしれません。

ITコンサルタントは、システムを作る人ではなく、クライアント企業の悩みに向き合い、ITを使って解決策を提案していく仕事です。たとえば「業務が回らない」「非効率な作業が多い」といった課題に対して、業務フローの見直しやクラウドサービスの導入を提案し、導入・運用までサポートします。

その背景には、ITに加えて経営や業界への深い理解が求められるのが特徴です。実際、大手のITコンサル企業では、提案から運用まで一貫して携わる案件も多く、責任とやりがいの大きさを実感できます。

具体的には、ある中堅製造業のクライアントが、「社員のスケジュール管理が煩雑で困っている」といった悩みを抱えていたとします。ITコンサルタントは、課題の本質を探り、業務内容や社内文化に合ったツールを提案し、導入後の使い方まで丁寧にサポートします。

その結果、業務がスムーズに回るようになったり、社員のストレスが軽減されたりと、数字では表しづらい変化も生まれていきます。

技術力だけでなく、対話力・提案力・観察力が活きるITコンサルの仕事は、「人と企業の変化を支える面白さ」を感じたい人にぴったりです。技術職の枠を超え、経営のパートナーとしての働き方を目指すなら、選択肢に加える価値は十分にあります。

逆に入ってはいけないIT企業の特徴5選

IT企業に就職・転職する際は、魅力的な求人情報ばかりに目を奪われず、避けるべき企業の特徴にも注意を払うことが重要です。

働き始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためには、求人内容や企業情報を正しく見極める目が必要です。

ここからは、逆に入ってはいけないIT企業の特徴5選として、失敗を避けるために事前にチェックすべきポイントを具体的に解説します。

仕事内容や配属があいまいな求人は避ける

求人を眺めていると、ときどき仕事内容がふわっとしたまま掲載されているIT企業に出会います。こうした求人は慎重に距離を置いたほうが安心です。なぜなら、入社してから「思っていた働き方と違う」と感じる人が少なくないからです。

曖昧さが危険と言われる背景には、実例があります。たとえば「システム開発全般」「ITサポート業務」というざっくりした表記だけで、実際にどんな工程を担当するのか触れていない求人です。

こうした会社に入社した人の中には、「気付けば単純作業だけ任されていた」「事前に聞いていた業務とかけ離れていた」という声が上がっています。

仮に求人票で「開発業務」と書かれていても、フタを開ければデータ入力や雑務中心だった──そんな事例も珍しくありません。配属先が未定のまま選考が進む会社は、入社後のキャリア設計がぼやけてしまい、自分の伸ばしたいスキルにつながらない可能性があります。

だからこそ、応募前や面接の場では、担当する作業の具体像や、どんな現場に配属される見込みなのかを丁寧に確認しておくことが大切です。仕事内容や配属があいまいな求人を避けるだけで、ミスマッチのリスクを大幅に下げられます。

会社の売上や事業内容がよく分からない会社は避ける

転職先を選ぶとき、会社の売上や事業内容が見えない企業は候補から外したほうが無難です。なぜかというと、事業の中身がはっきりしない会社では、自分がどんな仕事を担当するのかが想像しづらく、入社後の働き方が読めないからです。

企業研究の段階でミスマッチを防ぐには「事業内容が明確かどうか」が重要です。実際、公開情報から収益の柱が把握できる会社は、将来の方向性や自分のキャリアとの相性が判断しやすいのですが、逆に情報が乏しい企業は成長性や安定性の見極めが難しいのです。

求人情報を読み比べると、「ITサービス提供」など大雑把な説明しかないケースもあり、こうした企業は実際の業務が単調だったり、希望とは違う仕事を任される例も少なくありません。

たとえば、求人票の事業内容が抽象的なまま更新されている会社があります。「どんなサービスなのか」「誰に提供しているのか」が分からないままだと、入社後に担当業務が思ったものと違った、という状況が起きやすくなりますし、事業の方向性が曖昧な企業ほど将来の縮小リスクも見えづらいものです。

こうした理由から、IT企業を選ぶときは事業内容や売上の公開状況をしっかり確認することが大切です。会社のサイトや求人情報を読みながら、収益の軸やサービスの特長が把握できるかどうかをチェックしてみてください。それだけで、働く環境の見通しはだいぶ変わります。

残業時間や残業代の説明が不明確な会社は避ける

「残業がどれくらいあるのか」「残業代がどう支払われるのか」、この2つがはっきりしていないIT企業は、最初から候補から外すべきです。働き始めてから「こんなに残業が多いなんて聞いてない」「残業代が出ないなんておかしい」と感じる人が後を絶ちません。

実際、みなし残業制度を使って「月給に残業代込み」とだけ記載し、何時間分か、超えたらどうなるのか説明しないケースは多くあります。これは、労働基準法でも問題になることがある内容で、しっかり明記する義務があるにもかかわらず曖昧にしている企業は、労働環境に配慮していない可能性が高いです。※

たとえば「月給25万円(残業代含む)」とだけ書いてあり、残業時間の目安もなく、内訳も示されていない場合は注意が必要です。こうした企業では、長時間働かされても追加の手当が出ない、というリスクがあります。

口コミサイトなどでも「残業が常態化していた」「給料に見合わない働き方だった」といった声が多く見られます。

転職先を探すときは、求人票や面接時に「残業時間の目安は?」「固定残業代は何時間分?」「超過分は支払われるのか?」といった基本的なことを必ず確認しましょう。そこがはっきりしない企業に、安心して働ける環境は期待できません。

求人がいつも大量に出ている会社は注意する

IT企業を選ぶとき、意外と見落とされやすいのが「求人の出し方」です。求人サイトを眺めていると、ほぼ毎日同じ企業名を見かけたり、常に“大量採用”を掲げていたりする会社がありますよね。

一見すると「成長していて勢いのある会社なのかな」と前向きに捉えたくなりますが、実際には人が定着せず、延々と補充し続けているだけというケースも少なくありません。

実際、求人が長期間消えない企業は離職率が高い場合が多いと指摘されています。求人の背景がはっきりしないまま人数だけを大きく掲げている場合はなおさらで、「すぐ辞める人が多い」「育てる仕組みが弱い」「現場の負担が大きい」など、内部に問題を抱えている可能性があります。

たとえば、募集人数が曖昧だったり、同じ職種が何度も更新されていたりする企業は、業務量に対して人員が常に不足しているのかもしれません。応募する側としては、口コミや社員インタビューなどで会社の実態を少し深掘りしてみるだけでも見え方が変わります。

求人が常に大量に出ている企業がすべて悪いとは言えませんが、理由を確かめずに決めてしまうと入社後のギャップにつながることが多いです。気になる企業を見つけたら、「なぜ今こんなに採用しているのか」を丁寧に読み解く癖をつけると、選び方の精度がぐっと上がります。

口コミで早期退職の話が多い会社は警戒する

もし「入社してすぐに辞めた」「定着率が低い」といった口コミが多く見つかる企業があったら、その会社への応募は一度立ち止まって考えるべきです。職場環境や人間関係、待遇面など、どこかに無理が生じている証拠かもしれません。

実際に、エン・ジャパンが公表した「「早期離職」に関する実態調査」によると、31%の人が半年以内に転職先を離職しており、その理由の多くは「実際に働いてみて、事前のイメージとのギャップがあった」というものでした。また、約44%の人が「事前にその会社のネガティブ情報を知っていれば入社しなかった」と答えています。

たとえば口コミサイトを見て、「研修がないのに即現場」「上司に相談しづらい空気」「人がどんどん辞めていく」といった声が複数並んでいたとしたら、それはただの偶然ではありません。短期間での離職が目立つ職場には、必ずといっていいほど何らかの原因が存在します。

求人票だけではわからないリアルな情報をつかむには、実際に働いた人の口コミが重要な判断材料になります。見過ごしてしまえば、あなたの貴重な時間とキャリアを失うことにもなりかねません。応募前に必ずチェックするようにしましょう。

IT企業の選び方で迷ったときの5つの対処法

IT企業への就職や転職を考えていると、「どの会社を選べばいいのか分からない」と感じる方も多いです。

事業内容や働き方、待遇など、判断材料が多すぎて迷ってしまうのは当然です。

特に初めてIT業界に足を踏み入れる方にとっては、企業の見分け方が分からず不安に感じることもあります。

そんなときは、焦らず冷静に情報を整理し、自分に合った選択ができるように工夫することが大切です。

ここでは「IT企業の選び方で迷ったときの5つの対処法」として、納得できる決断につなげるための具体的な方法を紹介します。

自分が譲れない条件を3つに絞る

IT企業を探していると、気になる会社が次々と出てきて結局選べなくなる方が少なくありません。そんな状況を抜け出すための近道は、最初に“どうしても外せない条件”を三つだけ決めてしまうことです。軸がはっきりすると迷いが減り、判断にブレがなくなります。

実際、転職支援サービスの記事でも、勤務地・年収・働き方といった希望条件を事前に絞り込んだ人ほど、満足度も定着率も高いという傾向が紹介されています。希望を整理するだけで結果が変わるのなら、やらない理由はありません。

たとえば「残業が少ない」「一定の収入が望める」「事業の将来性がある」という三つを優先する場合、この三つを満たさない求人は最初から比較対象に入れないという姿勢が大切です。残業が少なくても年収が極端に低い会社、収入は良くても興味のない分野の会社などは自然と候補から外れていきます。

候補探しに行き詰まっているなら、自分の条件を三つに絞るところから始めてみてください。選ぶ基準が整うだけで、企業を見る目が驚くほど安定していきます。

優先順位を決めて候補を同じ基準で比べる

就職・転職活動では、「どの企業が良いのか」悩む場面が必ずあります。そんなときに役立つのが、自分の中で優先したい条件を明確にし、それを基準に各企業を見ていく方法です。感覚や印象に頼らず、冷静に比較できるようになります。

たとえば、「安定性」「スキルアップ」「働きやすさ」の3つが気になるとしたら、この3つを軸にすべての候補企業を並べて評価してみてください。年収や年間休日、残業時間といった数値データも重要ですが、それ以上に「自分にとって何が一番大事か」を決めておくことで、選ぶときに迷いにくくなります。

実際、「スキルを磨きたい」と考えている人が、残業時間の少なさだけで企業を選んでしまうと、あとから「成長できない」と感じてしまうこともあります。だからこそ、条件を見極めたうえで、どの項目を優先するのかをはっきりさせておくことが大切なんです。

リクナビやマイナビといった信頼性のある転職サイトでも、「企業比較では自分の価値観に基づいた軸をもつこと」が成功のポイントと紹介されています。比較対象を一律にしておくと、見落としやすい違いも浮き彫りになります。

自分にとって譲れないものを3つに絞る。そして、その3つで候補企業を比べる。たったそれだけで、選ぶべき道がぐっと明確になるはずです。

仕事内容や配属が具体的か面接で確かめる

転職活動で後悔しないために、面接では「どんな仕事をするのか」「どのチームに配属されるのか」といった点を、なるべく具体的に聞いておくことが欠かせません。

イメージだけで入社を決めると、実際に働き始めてから「想像と違った」と感じるケースが少なくないからです。

というのも、求人票に書かれている情報だけでは、実際の業務内容やチームの役割まで把握しきれないことがよくあります。信頼できる企業であれば、質問に対して丁寧に説明してくれるはずです。

たとえば、「このポジションで一日どういった作業をするか」や、「所属予定のチームには何人いて、どんな技術を扱っているのか」など、具体的な話が出てくるかがポイントになります。

Indeedや海外の採用コンサル系メディアでも、こうした確認を重視するよう強調されています。

面接は、企業側が応募者を評価する場であると同時に、応募者が企業の中身を見極めるチャンスでもあります。ぼんやりした説明のまま入社してしまうと、職場環境や業務内容にギャップを感じてしまうかもしれません。

だからこそ、仕事内容や配属先については、遠慮せずに詳しく聞いておくことが、自分に合ったIT企業を見つけるための大切なステップになります。

口コミは良い悪い両方を複数で確認する

IT企業を選ぶとき、口コミサイトはとても参考になります。ただ、そこで見かけたひとつの意見だけを信じて決めてしまうのは、少し危険です。

なぜなら、口コミは投稿者の体験や主観に大きく左右されるものだから。たとえば「残業が多い」「上司が厳しい」といった声があったとしても、それが部署によるのか、あるいは昔の話なのかまで、正確には分かりません。

だからこそ、見るべきは“複数の声”。しかも「良い面」と「悪い面」どちらもセットで調べておくと、偏りのない判断ができます。

口コミチェックに使えるサイトとしては、「OpenWork」「転職会議」「ライトハウス」などが有名です。どれもリアルな声が集まっていて、企業文化や働き方の傾向を把握するにはとても便利です。

実際、転職メディアの調査でも、就職活動や転職活動において「複数の口コミサイトを比較した人」の方が、入社後のギャップが少なかったという傾向が出ています。

企業の実態を知るには、企業側が発信する情報だけでは足りません。だからこそ、他人の目線で書かれた「口コミ」を活用し、いろんな角度から見てみることが、自分に合う職場と出会うための大切な一歩になります。

転職エージェントなど第三者の意見を活用する

IT企業の求人を比較していると、どこも魅力的に見えて迷ってしまうことがありますよね。そんなときに心強いのが、転職エージェントなどの第三者の存在です。

自分ひとりでは気づきにくい視点で、企業選びをサポートしてくれる存在として、頼りにする価値は十分にあります。

実際、エージェント経由で紹介される求人の中には、ネットでは出会えない非公開求人が含まれていることもあります。また、業界の事情に詳しい担当者から、企業ごとの雰囲気や実際の働き方について教えてもらえるのも大きなメリットです。

たとえば、SaaS系の自社開発企業で「裁量があって成長できる職場」を探していた方が、エージェントの紹介でぴったりの求人に出会えたという例もあります。面接前には過去の質問傾向まで教えてもらえて、結果的に内定までスムーズにつながったという話もよく聞きます。

情報が多すぎて迷ったときこそ、第三者の視点で冷静にアドバイスしてもらえる存在は貴重です。転職に慣れていない方ほど、プロの手を借りて、納得のいく企業選びを進めてみてはいかがでしょうか。

【Q&A】IT企業の選び方に関するよくある質問

最後にIT企業の選び方に関するよくある質問をまとめました。

転職や就職で失敗しないためにも、判断材料を整理して安心して企業選びができるように備えていきましょう。

IT業界のホワイト企業の特徴は?

IT業界で働きやすい会社を探すときは、制度と数字の両面から判断すると実態が見えやすくなります。

※国が定める年間休日105日を大きく上回り、120日以上を確保している企業は、まず土台が整っていると言えます。さらに、残業時間や残業代の扱いが求人にしっかり書かれている会社は、働き方を隠さない姿勢が感じられます。

たとえば、月の残業実績を公開し、在宅勤務の運用ルールまで説明している企業などは、働く側の不安を減らしてくれます。口コミや社員インタビューの内容と数字がほぼ一致していれば、現場とのギャップが小さい可能性も高まります。

研修や相談窓口の充実度まで見ていくと、働き続けやすいIT企業の輪郭がよりクリアになります。

IT系で一番稼げる仕事は何ですか?

「どの職種が最も稼げるのか」はよく聞かれる疑問ですが、実際には一種類に絞れません。ただ傾向として、企業の課題解決を担うITコンサルタントや、データ分析が武器になるデータサイエンティストは、年収の高さが安定しています。

どちらも業務の成果が会社の売上に直結しやすく、市場でも高い価値がつきやすいからです。クラウドやセキュリティの知識、プロジェクト管理能力が加わると、さらに収入が伸びやすくなります。年収だけでなく、仕事内容に納得できるかどうかも含めて見ていくと、後悔のない仕事選びにつながります。

IT企業を選ぶ決め手は何を優先すべき?

迷ったときに最初にやるべきことは、「何を一番大事にしたいのか」をはっきりさせることです。年収や働き方だけで判断すると、入社後にイメージとのズレが生まれやすくなります。

実際、厚生労働省の調査でも離職理由の上位に、労働条件や人間関係などが挙がっています。それぞれの企業を比較するときは、「学べる環境」「働きやすさ」「待遇」など、自分にとって外せない項目を三つほど書き出すと整理しやすくなります。

配属や仕事内容、評価制度を面接で具体的に聞き、口コミや社員の発信で裏付けを取れば、判断の精度がぐっと高まります。

未経験でもホワイトなIT企業はどう見つける?

未経験の場合は、育成環境と労働条件のバランスを見るのが近道です。IT人材が不足している現状もあり、企業は育てながら採用したいと考える傾向が強まっています。

求人に研修の期間や内容、メンター制度の有無が詳しく書かれている企業は、教育に投資している証拠です。年間休日120日以上といった働きやすさの基準に加えて、固定残業の有無や支給方法が明確な会社を選ぶと安心感が増します。

配属先の例やキャリアパスまで説明されている企業は、成長のイメージが描きやすく、未経験でも着実にスキルを伸ばしやすい環境が整っています。

新卒でITはやめとけと言われるのはなぜ?

「新卒でITはやめとけ」と言われがちなのは、主に配属や働き方に対する不安が背景にあります。

特にSES(客先常駐)と呼ばれる働き方では、実際に働く場所が頻繁に変わり、自社とのつながりが薄く感じられることも多いです。教育制度や評価基準が現場に委ねられがちで、成長機会が思うように得られないといった声もあります。

ただし、すべてのIT企業がそうではなく、きちんと教育体制を整え、キャリアの見通しを説明してくれる企業も確実に存在します。新卒であっても、研修の充実度や配属の決定プロセス、働き方の柔軟性などをしっかり確認しておけば、安心して入社できる選択肢は十分にあります。

まとめ:IT企業の選び方を定性・定量・事業形態別に解説

IT企業の選び方を定性・定量・事業形態別に解説してきました。

改めて、IT企業の選び方をまとめると、

IT企業の選び方
定性情報
  • 会社が目指す姿や価値観に共感できるか見る
  • 社風や人の雰囲気が自分に合うか確かめる
  • 仕事の進め方が分かる事例や発信をチェックする
  • 配属や担当の説明が具体的で分かりやすい会社を選ぶ
  • 入社後に学べる研修やサポートの手厚さを確認する
  • 働く場所や働き方の自由度があるか事前に確認する
  • 社員の定着率や離職率から働きやすさを判断する
  • 実際の社員の声やインタビューでリアルな働き方を知る
定量情報
  • 年間休日120日以上か求人票で確認する
  • 残業時間が月20時間前後か数字で見る
  • 平均年収と昇給額の数字を他社と比べる
  • 売上や利益が3年連続で伸びているか見る
  • 離職率が10%未満か公開情報で確かめる
事業形態
  • 自社のサービスに関わりたいなら「自社開発企業(Webサービス)」
  • 安定した大規模案件で経験を積みたいなら「受託開発企業(SIer)」
  • さまざまな現場を経験したいなら「SES企業(客先常駐)」
  • 企業向けのクラウド製品に関わりたいなら「SaaS企業」
  • 経営に近い立場で提案したいなら「ITコンサルティング」

そして、IT企業の選び方に関する重要な5つの結論をまとめると、

IT企業の選び方に関する重要な5つの結論

  • 仕事内容や配属の説明が具体的な企業を面接で見極めることが重要
  • 求人票や面接では同じ基準で比較できるよう優先順位を整理する
  • 口コミは良い面・悪い面の両方を複数サイトで確認し、主観に偏らない判断をする
  • 第三者である転職エージェントを活用して企業情報を客観的に収集する
  • 応募前に企業の発信や社員の声も参考にし、リアルな社内環境を把握する

IT企業の選び方では、表面だけの求人情報にとらわれず、仕事内容や職場の実情を深く掘り下げる姿勢が求められます。

特に面接時の具体性や口コミの多角的チェック、エージェントの意見を活用することで、入社後のギャップを防ぎ、自分に合うIT企業を見つけやすくなります。