「人売りIT企業ってどんな会社?どんな働くリスクがある?優良IT企業に就職できる求人の探し方も教えてほしい!」
こんな疑問、悩みに答えます。
本記事では「IT企業に転職・就職を考えていて、人売りITにだけは入りたくない方」に向けて、以下の内容・目的で記事を書いていきます。
- 人売りIT企業で働くリスクと見分け方
- 人売りIT企業への転職を避ける求人の見極めるポイント
- 人売りIT企業だけは避けたい!優良IT企業の求人の探し方
あなたも一度は、聞いたことがありませんか?
「人売りIT企業」
人売りIT企業で働くと、今後のキャリアにも影響する「リスク」が潜んでいます。
どうすれば、人売りIT企業を避けて優良IT企業に就職・転職できるようになるのか?
気になる人売りIT企業で働くリスクと見分け方や優良IT企業の求人の探し方を詳しく解説していきます。
人売りIT企業とは
まずはじめに、人売りIT企業とはどんな企業か?簡単にご紹介します。
「人売りIT企業」とは、エンジニアを客先に常駐させて利益を得る派遣会社やIT企業のことを指します。
エンジニアは、SES(システムエンジニアリングサービス)や人材派遣の勤務形態で、客先に常駐します。
発注側(クライアント)にとっては、即戦力のある人材を素早く確保できる反面、問題点として、常駐技術者にとっては過酷な労働を強いられる傾向があります。
実際、厚労省の「発注者・受注者で実現する働き方改革に関する意識調査」によると、発注者側が原因による残業時間の有無を調査した結果、
- 7~8割:23.5%
- 5~6割:35.1%
- 3~4割:22.2%
上記の通り、半数以上の割合で発注者側の原因であると答えています。
また、常駐技術者は、単純労働を任されたり、限られた予算のなかで仕事をするため労働単価が安くなることなども指摘されています。
こうした問題から、エンジニアを常駐させる企業はブラック企業と見なされ、「人売りIT企業」と呼ばれるようになった背景があります。
人売りIT企業で働く5つのリスク
ではどういった点に問題があるのか?
人売りIT企業の特徴を交えながら人売りIT企業で働く5つのリスクを詳しく解説していきます。
【リスク1】下請法の違反行為が見られる
まず1つ目のリスクが「下請法の違反行為が見られる」
下請法とは、支払い期日や商品の受領義務など、下請けの際に発注側が守るべき法律を指します。
人売りIT企業は、上記の下請法を守っていない可能性が否定できません。
実際、公正取引委員会の「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」にて、下請法の違反件数(7,878件) を業種別に見てみると、
- 情報サービス業:686件
- 機械器具卸売業:678件
- 道路貨物運送業:648件
上記結果の通り、「情報サービス業」がもっとも多いことがわかります。
なぜここまで、情報サービス業に違反件数が多いのか?
同資料から具体的に調べてみると、「支払遅延(82.7%)」によって、違反行為が見られたと次の表にはありました。
従って、人売りIT企業で働くリスクとして、下請法に反した行為が見られる可能性が高いと言えるでしょう。
【リスク2】偽装請負で働かされる可能性がある
次に2つ目のリスクが「偽装請負で働かされる可能性がある」
偽装請負とは、客先常駐のように請負契約で出向している技術者に対して、派遣契約のような待遇で働かせる勤務形態を指します。
具体的には、請負契約であれば、出向先の企業に技術者を指揮する権限がないにもかかわらず、残業を強いたり業務の指示を行ったりする不正行為です。
こうした偽装請負は、違法行為として禁止されているものの、実際の現場では、特に悪質な人売りIT企業では、横行している場合があります。
実際、厚労省の「請負事業の適正化に関する調査・研究事業」において、偽装請負についての基準を認知しているか発注者(委託元)に尋ねたところ、
- 基準があることも内容も知っている:46.8%
- 基準があることを聞いたことはあるが、具体的な内容は知らない:36.7%
- まったく知らない:16.5%
上記の通り、「内容を知らない」業者が、合計で53.2%にも上ることがわかりました。
結果からも偽装請負に関して、いかに危機感の薄い業者が多いかが明らかです。
従って、偽装請負で働かされる可能性があることも、人売りIT企業で働くリスクのうちに入ります。
【リスク3】長時間労働が常態化する
3つ目のリスクが「長時間労働が常態化する」
偽装請負は、発注業者と受注業者の指揮系統が曖昧になることが原因のひとつですが、その弊害として長時間労働が引き起こります。
主な理由としては、労務管理における責任の所在が、派遣元(受注業者)よりも現場優先(発注業者)になってしまうから。
実際、厚労省の「働き方・休み方改善 ハンドブック(情報通信業)」から、客先常駐比率別に残業が月に80時間を超えている企業を調べてみると、
- 客先常駐比率(70~100%)の場合:72.5%
- 客先常駐比率(30~70%未満)の場合:68.8%
- 客先常駐比率(1~30%未満)の場合:65.6%
- 客先常駐比率(0%)の場合:42.1%
上記の通り、客先常駐者が多い企業ほど、所定外労働時間が80時間を超えていることがわかります。
なので、悪質な企業の場合は、過重な労働を強いる可能性が高いと言えます。
以上のような点で、長時間労働が常態化することも、人売りIT企業で働くリスクのひとつと言えるでしょう。
【リスク4】仕事の実績が正当に評価されづらい
4つ目のリスクが「仕事の実績が正当に評価されづらい」
派遣先でエンジニアが仕事を行う弊害として、派遣元の企業がエンジニアの仕事内容を把握しづらい点があります。
なので、人売りIT企業であれば、頑張って働いても正当に評価されないリスクが高まります。
たとえば、人材サービス産業協議会の「派遣社員の評価に関する派遣先担当者調査結果」で、派遣先担当者に派遣社員の評価について尋ねると、
【あなたは、「派遣社員」を評価することがどの程度必要なことだと思いますか。】
- とても難しい:8%
- やや難しい:47%
- どちらとも言えない:29%
上記の通り、派遣先担当者の約6割は派遣社員の評価が困難であるとしています。
その理由としては、同資料によると「判断・評価基準がない」が50%以上との結果が出ています。
なので、担当者が評価する基準がないと答える以上、派遣先企業が悪質な企業であれば、正当に評価されない可能性は高いです。
以上の点から、仕事の実績が正当に評価されづらいことも、人売りIT企業で働くリスクのひとつになります。
【リスク5】スキルが身につかずキャリアアップできない
そして5つ目のリスクが「スキルが身につかずキャリアアップできない」
SES契約で行う業務内容は、下流工程が多いと言われています。
主な理由としては、SES契約で扱う業務は、下請け案件が中心となるから。
下請け案件が多いということは、未経験者が参入しやすいメリットになるものの、見方を変えると、悪質な企業であれば、単純作業ばかり任されるリスクも高くなります。
なので、エンジニアとしてスキルをアップさせたいと考えていても、単純作業ばかりの仕事が多ければ、キャリアアップを図れません。
キャリアアップができなければ、モチベーションを維持するのが難しいですし、やりがいを感じることも少なくなってしまうでしょう。
従って、スキルが身につかずキャリアアップできないということも、人売りIT企業で働くリスクにつながる要因だと言えます。
【簡単】人売りIT企業の見分け方5選
ここまで、人売りIT企業で働くリスクを解説してきました。
リスクが理解できれば、多くは人売りIT企業に勤めたいとは思わないでしょう。
ただ、どんな企業が人売りIT企業なのか?
見分け方も分からなければ、ブラックな職場に勤めてしまうリスクも孕みます。
ここでは、簡単に見分けられる人売りIT企業の見分け方5選をご紹介します。
【見分け方1】取引先が同業者しかない
取引先がIT企業の同業者ばかりの場合は、人売りIT企業の可能性が高いです。
なぜなら、IT同業者の多い企業は、プライムベンダー(元請け)が請けたプロジェクトを、下請けの形で請け負っている場合が多いからです。
一方、官公庁や大手メーカーなどIT以外の業種と取引している場合は、元請けである可能性が高いので、労働環境の良いところが多いと言えます。
実際、経産省の「IT産業における下請の現状・課題について」で、元請企業・下請企業別の給料格差を見てみると、
30~34歳の場合
- 発注元:約590万円
- 1次請け(元請):約530万円
- 2次請け:約520万円
- 3次請け:約455万円
どの年代においても、下請けになればなるほど、年収は下がるのがわかります。
なので、下請け企業は、厳しい労働条件のなかで働かされる可能性が高いと言えます。
以上のような点で、取引先が同業者ばかりかどうかは、人売りIT企業の見分け方のひとつに挙げられます。
【見分け方2】社員の平均年齢が低い&離職率が高い
社員の年齢層や離職率を調べてみるのも、人売りIT企業かどうか見分ける際に重要となります。
たとえば、離職率が高いと、労働条件や環境に不満を持っている社員が多い可能性があります。
また、平均年齢の低さは、勤続年数の長い社員がおらず、社員が育たない環境である可能性があります。
目安としては、新卒は3年以内に辞める確率が高いため、3年以上働いている人がどれくらいいるかなどを調べてみるのも、良いかもしれませんね。
以上のように、社員の平均年齢が低い、かつ離職率が高い企業は、人売りIT企業である可能性が高いです。
【見分け方3】給与が平均水準よりも低い
給与が平均より低い場合も、人売りITである可能性があります。
なぜなら、給与が安いということは、労働単価の低い下請けの仕事ばかり請けもっている可能性があるから。
実際、公正取引委員会の「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査」によると、「下請構造から生じ得る問題点」のひとつとして、「買いたたき」を挙げています。
「買いたたき」の状況が生じると、下流に行くほど受注金額が低い案件を受けざるを得なくなるという弊害が引き起こされます。
こうした環境では、当然給与は安く、かつ劣悪な労働条件の下で働かされるリスクがあります。
従って、給与が平均水準よりも低い点も、人売りIT企業を見分けるポイントのひとつに挙げられます。
【見分け方4】裁量労働制と固定残業代制が導入されている
裁量労働制と固定残業代制は、どちらもIT業界では長時間労働の温床となりやすいので、注意が必要となります。
実際、ビジネス情報サイトでは、裁量労働制についての問題を取り上げ、警鐘を鳴らす記事が出ているほどです。
そもそも「裁量労働制」と「固定残業代制」とは何か?
裁量労働制は、労働時間が労働者の裁量にゆだねられる職種に適用される制度で、実際の労働時間に関わらず、所定の時間を労働時間とみなす制度をいいます。
また、固定残業代制は、みなし残業と言われ、あらかじめ一定の残業代が決められており、それ以上残業しても、お金が支払われない制度です。
裁量労働制や固定残業代制も、時間内に収まるのであれば、従業員にとってプラスになりますが、時間以上働かさせるリスクを考慮に入れる必要があります。
従って、上記の制度が導入されている企業は、人売りIT企業を見分けるポイントのひとつになると言えます。
【見分け方5】還元率が低すぎるor教えてくれない
還元率が、著しく低い、あるいは還元率を教えてくれない企業は、人売りIT企業の可能性が高いです。
還元率とは、エンジニアに支払われる人月単価の取り分を指し、一般的なSESエンジニアの還元率は、50~60%程度と言われています。
一方、還元率で差し引かれた分は、SES企業のマージンとして、会社の取り分となります。
下請け企業とはいえ、適性なマージン率で差し引かれるならば全く問題ありません。
ですが、悪質な企業だと、極端に低い還元率だったり、情報を隠したりする場合があります。
従って、還元率がどれくらいなのかを知っておくことも、人売りIT企業を見分けるポイントのひとつになるかと思います。
人売りIT企業への転職を避ける求人の見極めるポイント
具体的にIT企業への転職を考えた時、求人は何に注意して見分ければいいのか?
人売りIT企業への転職を避ける求人の見極めるポイントもまとめます!
【ポイント1】求人が常に掲載されている
まず1つ目のポイントが「求人が常に掲載されている」
常に求人を掲載している企業は、従業員の入れ替わりの激しい可能性があるので注意しましょう。
従業員の入れ替わりが激しいということは、入社しても何らかの理由で辞めてしまう人が多いということ。
求人を載せるのもお金がかかるのに、わざわざ人材を何度も募集するのは、ネガティブな理由による場合が多いと言えます。
つまり、常に募集を掛けないと経営が成り立たない状況に陥っていることも考えられ、ブラックな会社である可能性が高いと言えるでしょう。
求人募集を見れば、常に掲載されているかどうかは調べやすいので、気になる企業はチェックしてみることをおすすめします。
IT企業の求人サイトならIT/Web業界に強い「Green」を利用するのが最もおすすめです。
Greenは、人事担当者が仕事を斡旋してくれるだけでなく、マッチング機能で面接前に企業の人と会えたり、気軽に転職活動できるのが魅力です。
応募前にどういう企業かを関係者と直接話ができるので、就職が決まってから後悔するリスクを限りなく減らせるメリットもあります。
Greenは、慎重に企業を選びたい方におすすめの求人サイトです。
今現在、優良IT企業の求人を探している人は、Greenをまずは試してみてはいかがでしょうか。
【ポイント2】社員数のわりにオフィスが小さい
次に2つ目のポイントが「社員数のわりにオフィスが小さい」
人売りIT企業を見極めるには、 オフィスの小ささにも注目すると良いです。
社員数に比べて、オフィスが小さい場合は、自社で仕事をしない、派遣による業務がほとんどだからです。
実際、客先常駐がメインである企業の例として、以下の特徴が挙げられます。
- オフィスがマンションの一室
- グループ全体の人数と比べてオフィスが小さい
- 住所がグループ企業内
たとえば、零細IT企業は、しっかりしたオフィスを用意している職場が少ないようですね。
なので、求人情報や会社のホームページ等から従業員数を調べたり、Googleマップで住所を調べてみるのも、人売りIT企業を避けるには良い方法です。
【ポイント3】勤務地や勤務時間を確認する
そして3つ目のポイントが「勤務地や勤務時間を確認する」
求人の欄に記載されている勤務地や勤務時間からも、見分ける判断材料になります。
具体的には、勤務地や勤務時間をはっきりと特定せず、曖昧な書き方をしていたら怪しいです。
たとえば、以下のような書き方の求人を見かけたら要注意です。
- 東京23区内
- 首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)
- 東京23区、および横浜・川崎近郊
- 本社または東京都内
- 客先に準ずる
- プロジェクト先により異なる
- プロジェクトによる
以上のような、場所や時間をはっきり特定しない書き方をしている場合は、人売りIT企業である可能性は高いと言えます。
勤務場所について言えば、本拠地を記載せず、「東京23区内」や「東京都内」と曖昧に記載されているのは、勤務場所がクライアント先になる可能性が高いということです。
また、勤務時間についても、クライアント先の企業の就業時間は、必ずしも募集会社の就業時間と一致するわけではないので、あえて曖昧な書き方をしています。
なので、この二つの点に注意して、企業情報をチェックすると、人売りIT企業であるかどうかが比較的分かりやすいでしょう。
人売りIT企業だけは避けたい!優良IT企業の求人の探し方
ここまで、人売りIT企業に関する情報を詳しく解説してきました。
では、どうすれば人売りIT企業に就職・転職せずに済むのか?
あなただけではありません、多くのエンジニア・IT業界従事者は考えています。
ここからは、具体的な人売りIT企業だけは避けたい!優良IT企業の求人の探し方をご紹介します!
【探し方1】IT専門の転職エージェントをフル活用する
まず使うべきは「IT専門の転職エージェントをフル活用する」
転職活動を有利に進めるためにも、転職エージェントの活用は必須です。
なぜなら、自力で求人を探すのは時間がかかり過ぎるから。
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IT専門の転職エージェントだけでなく「総合型のエージェントサービスを併用する」
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つまり、転職を意識したら転職エージェントは複数登録しておくのが吉。
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【探し方3】自力で探すなら求人サイトを活用する
そして3つ目の探し方が「自力で探すなら求人サイトを活用する」
求人サイトの利点は、自分のペースで仕事を探せること。
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そのうえ、紹介してもらった手前、なかなか断りづらく、ゆっくりと考える時間的余裕もないです。
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【Q&A】リスクが多い人売りIT企業に関するよくある質問
最後にリスクが多い人売りIT企業に関するよくある質問をまとめます。
【質問1】人売りITは儲かる?
「人売りITは儲かる?」
人売りITは、あまり儲からないと筆者は思います。
なぜなら、派遣エンジニアは時間給であることが多く、残業が少ないからです。
客先常駐などの派遣エンジニアは、残業が発生すると追加料金を支払う契約になっているケースが多く、残業した場合それだけ多く会社の負担になります。
なので、できるだけ負担を出したくない企業は、契約内の支払いに留めようとします。
実際、求人サイトの情報をみても、時間給別では派遣エンジニアの方が、ITエンジニアの正社員よりも高い場合が多いです。
ですが、残業が少なければ、実質的には、正社員の方が年収が高くなります。
契約内容やプロジェクトの大きさや進行度によっては、残業が発生する客先常駐もありますが、みなし残業等でもらえない場合もないとは言い切れません。
なので、人売りIT企業は儲からないと考えておいたほうが良いと、筆者は思います。
【質問2】人売りITの企業一覧を教えて!
「人売りITの企業一覧を教えて!」
まとめ:人売りIT企業の特徴から働くリスクと見分け方
人売りIT企業の特徴から働くリスクと見分け方をまとめてきました。
改めて、人売りIT企業で働くリスクをまとめると、
- 下請法の違反行為が見られる
- 偽装請負で働かされる可能性がある
- 長時間労働が常態化する
- 仕事の実績が正当に評価されづらい
- スキルが身につかずキャリアアップできない
希望にマッチした働き方を手に入れたい方は、必ず転職エージェントを活用しましょう。
実際、転職エージェントに希望条件を伝えるだけで、その日のうちに求人を複数紹介してくれます。
求人紹介だけでなく、書類作成や面接対策などのアドバイスまで無料で受けられます。
もはや利用しない手はどこにもありません。
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